さまざまなアーティストから多くの尊敬を集める、偉大なる米国のシンガーソングライター、ウォーレン・ジヴォン。彼のデビューは69年の「Wanted Dead Or Alive」、以後長い下積み時代が続きますが、折からのウエスト・コースト・サウンドのブームに加え、70年代の歌姫、リンダ・ロンシュタットに「風にさらわれた恋」「カルメリータ」「私はついてない」「モハメッドのラジオ」など、彼の作品が次々と取り上げられ、たちまち知名度アップ。76年「さすらい」、78年「エキサイタブル・ボーイ」、80年「ダンシングスクールの悲劇」と優れたアルバムを順調に発表するも、パンク、ニューウェーブがトレンドの時代を迎えた80年代は苦難の時代となりました。
久々に彼の名前を聞いたのは87年、古巣のアサイラムからヴァージン・レコードに移籍、R.E.M.をバックに従え「Sentimental Hygiene」で復活。ニール・ヤングの血を吐くような壮絶ギター・ソロをフューチャーしたタイトル曲やハードボイルド風ファンク「Leave My Monkey Alone」など、ブランクを全く感じさせない傑作アルバムです。そして89年に、ジェリー・ガルシア、デイヴ・ギルモア、ニール・ヤング、デヴィッド・リンドレー、チック・コリアなど多彩なゲストを迎え、コンピュータ社会を見据えた近未来的なSF意欲作「Transverse City」を発表。ハードな3連発「Transverse City」「Run Straight Down」「The Long Arm of the Law」で、いきなりのノック・アウト! ハーモニカ・ソロがむちゃくちゃカッコいい必殺の名曲「Splendid Isolation」など、ウォーレン・ジヴォンの影の名盤だよ。ロック・アーティストがコンピュータに興味を持って作ったアルバムは、ニール・ヤングの「Trans」や、ザ・フーの「Who’s Next」あたりが思い浮かぶかな。ファンの間ではいつも巻き起こる賛否両論、ロックとコンピュータの関係は難しいね。